「都会の中で魔女暮らし」

ハーブと暮らして40年以上にもなるハーバリスト、といえば里山で暮らしているとか、ハーブのお庭を持っているとかを想像されると思います。悲しいかな、私は街中のこじんまりした家に暮らしています。ベランダや家の軒下の狭いところでハーブを育てています。それを採取してハーブティーにしたり、スパイスにしたり、お料理に添えたり、自分使いでは充分です。ただ街中では植物たちは遠慮しがでなんだかかわいそう。
大きくなったオリーブの樹や枇杷の樹をもっとのびのび育てた
い、そんな思いもあるけれど…。
自分なりに工夫して暮らしてきたこの生活でも、植物の持つ
エネルギーを感じることができます。自然に囲まれた里山のようにはいかなくても、自然の
少ない街中でも、自ら求めていくことで必ず何かを教えてくれます。感じさせてくれます。
無限に広がる大自然に抱かれる心地よさはこのカラダが感じるもの。路地を通る風であっ
たり、お寺の上に広がる青空、ビルの隙間から見える夜空にも一体感を感じることができ
ます。マンション跡の空き地はあっという間に草むらになり、アスファルトの割れ目から名も
ない草が生えてきます。人間が作ったものなんて自然には太刀打ちできないんです。
あえて都会の中で魔女的に暮らすことも何か意味のあることのように思います。